たった今、というか今日

江國香織の詩に「たった今誰か私を思い出してくれないだろうか」と思いながら電話を見つめている。というようなものがあったと記憶しているのですが、まさしく今日はそんな感じだった。
具合が悪くて段々読書に集中できなくなるし、五輪期間でいつも見るテレビも無いし、でもじっとしていられない程度の鈍痛は治まる気配も無いし、大袈裟だけどひどく孤独だった。
誰かに電話でもしてお喋りして気を紛らわす、には、もうみんないろんなものを背負っているから、私の都合だけで電話するのもなあ。
一人で生きていくということは、こんな時に構ってくれる相手も、構う相手もいないってことなんだなあ。一人で、背中を丸めて、息を潜めて、痛みが過ぎ去るのを待つしかない。
少し考えたら当たり前のことが段々現実になっていく。私はそれを受け入れていかなくてはならない。生きていくかぎり、これはずっと続いていくんだから。
まるでハチクロの修ちゃんだ。大人になったからって、いろんなことが平気になるわけじゃない。だけどもう戻れない。こんな時、私は誰の名前を呼ぶべきだろう。修には原田がいたけれど、幸いなことに私の友人達は皆元気に存命中だ。

昔、母に言われたことがある。おまえみたいな人間が、一人でなんて生きて行けるはずが無い。世の中はそんなに甘くない。
あれは多分呪詛だった。自分が一人で生きられなかったから、私にも同じだけのものを背負わせたかったんだろう。だけど、私は母が思うほどモテもしないので(笑)、残念ながらきっとこのままだ。母の言いなりになんかなってたまるか、という思いがあれば、もうしばらくは堪えて行けるような気もする。