合間には不揃いな

きみはポラリス (新潮文庫)

きみはポラリス (新潮文庫)

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

サクリファイスとサヴァイヴの合間にちまちまと読み進めたのは何故か恋愛小説と漫画。
きみはポラリスは、悪くはなかったけど、多分今の私が絶賛恋愛中ならまた違った見方が出来たのかも知れない。つくづく不毛な人生だ。
しかしそんな喪女にも楽しめる恋愛小説が夜は短し歩けよ乙女、だ。はっきり言って非現実的だ。リアリティを以って小説の価値を図るような無粋な輩は手に取ることさえ能わぬような荒唐無稽な物語だ。読者諸賢の大半はおそらく先輩の妄想ぶりに我が身を重ね、煩悶したり開き直って楽しんだりされたことと思う。むろん、私もそうだ。寧ろ先輩と一緒になって黒髪の乙女に恋をしていた。彼女はいつも勇敢にずんずんと歩いているだけだ。オモチロイことを求め、夜の盛り場や怪しげなる者共が跳梁跋扈する古本市や輝ける青春と情けない青春が混沌と渦巻く学園祭や風邪に征圧される寸前の京都の町を、ずんずんと歩いていく。それだけなのに我々は先輩と一緒になってその後ろ姿にノックアウトされてしまうのだ。これぞ読書の醍醐味!

リバーズエッジはだいぶ久しぶりに読んだらずいぶん話から受ける印象が変わっていた。最初に読んだのは多分ハタチくらいのころで、私はまだ春菜達が立っている場所の方に近かった。だからどこか少し、この物語は自分のことでもあった。今はもう違う。私は大人だ。死体を見つけたら悲鳴を上げて警察を呼ぶだろう。